不動産鑑定評価書を作成する中で学んだことをメモしていきたいと思います。
先日、一棟まるまる同一所有者の区分所有建物(全区画貸家)の鑑定評価書を作成する際、想定上の条件を設定することを知りました。
「区分登記がなされているだけでまるまる同一所有者なのだから、想定上もなにも現況と相違した評価ではないのだから、想定上の条件を設定するのはおかしいのでは?」
と、思ったのですが
・対象不動産は複数の区分所有建物及びその敷地から構成されている、が、全て同一の所有者に帰属している」
→一棟の貸家及びその敷地として評価を行うため、想定上の条件を付ける
ということらしいです。
そもそも(地域要因または個別的要因についての)想定上の条件とは、例えば
「土壌汚染が除去されたものとして」
「中古建物について設備が更新されたものとして」
等、現況と異なる状況(要因)を想定する場合の評価条件のことです(TAC論証例より)。
区分登記がされた時点で、通常はそれぞれの区画で所有者が異なるものであり、そのため全員が同時にある一人に売却するということは通常考えにくく、また区画をバラ売りするのと一棟まるまる売るのとでは価格も変わってくるということから、想定上の条件を付ける、と考えると納得がいきます。
区分登記されているのに一棟まるまる同一所有者という物件は実際にはよくあるので、今後も頻繁に評価することになりそうです。
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